小児矯正の適切な時期とは？永久歯が生える前が本当にベストなのか

お子さまの歯並びが気になり始めたとき、「いつから矯正を始めるべきか」という疑問をお持ちの保護者の方は少なくありません。特に「永久歯が生える前に治療を始めるべき」という情報を目にすることも多いでしょう。

実際のところ、小児矯正の開始時期については様々な見解があります。早期に始めるべきケースもあれば、永久歯が生えそろってから治療を開始した方が効果的なケースもあるのです。

当院では、お子さまの状態を詳しく診断した上で、最適な治療開始時期をご提案しています。今回は「小児矯正はいつから始めるべきか」について、歯科医師の立場から詳しくお伝えします。

小児矯正の基本と治療開始の目安

小児矯正とは、成長期のお子さまを対象とした矯正治療です。単に歯並びを整えるだけでなく、顎の成長をコントロールしながら、将来的な歯並びや噛み合わせの問題を予防・改善していきます。

治療開始の目安は、お子さまの状態によって大きく異なります。一般的には以下のような時期が考えられています。

• 5〜7歳頃（乳歯列期〜混合歯列初期）：受け口（反対咬合）や著しい上顎の発育不全などの場合
• 7〜10歳頃（混合歯列期）：出っ歯や叢生（歯のガタガタ）などの場合
• 11〜13歳頃（永久歯列初期）：永久歯が生えそろった段階での本格矯正

日本矯正歯科学会では、小学校低学年のうちに一度は矯正相談を受けることを推奨しています。これは早期発見・早期対応が重要なケースがあるためです。

ただし、「早ければ早いほど良い」というわけではありません。症例によって適した時期が異なるため、専門医の診断を受けることが大切です。

小児矯正の治療法と特徴

小児矯正では、お子さまの成長段階に合わせて様々な治療法が選択されます。当院で行っている筋機能療法は、特に5歳から10歳の成長期のお子さまに効果的な治療法です。

筋機能療法とは

筋機能療法は、歯並びが悪くなる原因となる口腔周囲の筋肉の癖や機能を改善する治療法です。口呼吸や舌の位置、唇や頬の筋肉のバランスなどを整えることで、正しい歯並びを促進します。

特に「おくちぽかん」「歯列不正」「オープンバイト」「上顎前突」などの症状に効果があります。これらは口腔機能発達不全症と呼ばれる状態で、放置すると将来的に様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

• 無呼吸症候群のリスク増加
• 虫歯や歯周病になりやすい
• 風邪をひきやすくなる
• 集中力の低下
• 姿勢の悪化

一期治療と二期治療

小児矯正は、一般的に「一期治療」と「二期治療」に分けられます。

一期治療は混合歯列期（乳歯と永久歯が混在する時期）に行い、顎の成長を利用して歯が並ぶスペースを確保することを目的としています。この時期の治療により、将来的に歯を抜かない矯正治療が可能になる場合が多いです。

二期治療は永久歯が生えそろった後に行う本格的な矯正治療です。ブラケットやワイヤーを使って歯を直接動かしていきます。

当院では、お子さまの状態に合わせて、院内でのトレーニングと自宅でのマウスピース・バイオブロックを使用したトレーニングを組み合わせた治療を行っています。

早期治療のメリットとデメリット

小児矯正を早期に始めることには、メリットとデメリットの両方があります。お子さまの状態に合わせて、最適な治療開始時期を判断することが重要です。

早期治療のメリット

成長期の顎の骨は柔らかく、矯正装置による誘導が効果的に働きます。特に上顎の成長は10歳までに80%が完了するため、この時期に適切な治療を行うことで、将来的な歯並びの問題を予防できる可能性が高まります。

• 顎の成長をコントロールできる：成長期の柔軟な骨を利用して、歯が並ぶスペースを確保できます。
• 抜歯リスクの低減：顎を拡大することで、将来的に歯を抜かずに矯正治療ができる可能性が高まります。
• 口腔機能の改善：口呼吸や舌の癖などを早期に改善することで、全身の健康にも良い影響があります。
• 心理的な効果：歯並びの改善により、お子さまの自信につながることがあります。

特に筋機能療法では、単に歯並びの見た目を改善するだけでなく、口腔周囲の筋肉のバランスを整えることで、全身の健康改善を目指します。また、根本から問題を改善するため、後戻りのリスクも低減できます。

早期治療のデメリットと注意点

一方で、早期治療にはいくつかの注意点もあります。

• 長期的な通院が必要：成長に合わせた治療となるため、数年単位での通院が必要になることがあります。
• 二期治療が必要になる可能性：一期治療だけでは完全に改善せず、永久歯が生えそろった後に再度治療が必要になるケースもあります。
• お子さまと保護者の協力が不可欠：特に取り外し式の装置は、毎日の使用が効果を左右します。

最近の研究では、すべての症例で早期治療が必要というわけではないことも分かってきています。特に出っ歯（上顎前突）については、永久歯が生えそろってからの治療でも十分な効果が得られるケースもあります。

当院では、CTスキャンと動画撮影による正確な診断を行い、お子さま一人ひとりに最適な治療計画をご提案しています。矯正専門医が在籍しているため、様々な症例に対応できる体制を整えています。

小児矯正が特に効果的なケース

すべてのお子さまに早期の矯正治療が必要なわけではありませんが、以下のようなケースでは早期治療が特に効果的とされています。

受け口（反対咬合）

下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。成長とともに症状が悪化することが多いため、3〜5歳頃からの早期治療が推奨されるケースがあります。

放置すると、顎の成長バランスが崩れ、将来的に外科手術が必要になる可能性もあります。早期に治療を始めることで、顎の成長を適切な方向に誘導できる可能性が高まります。

おくちぽかん（口腔機能発達不全症）

口が常に開いている状態で、口呼吸が習慣化していることが多いです。舌の位置や機能の問題から、歯列不正やオープンバイトを引き起こすことがあります。

筋機能療法では、口周りの筋肉のトレーニングや舌の位置の改善を通じて、鼻呼吸への切り替えを促します。これにより、歯並びだけでなく全身の健康にも良い影響をもたらします。

上顎前突（出っ歯）

上の前歯が前方に突出している状態です。見た目の問題だけでなく、前歯が外傷を受けるリスクも高まります。

上顎の成長が著しい時期（7〜10歳頃）に治療を始めることで、顎の成長をコントロールしながら改善できる可能性があります。ただし、永久歯列期からの治療でも効果が得られるケースも多いため、専門医の診断が重要です。

小児矯正の治療の流れと費用

当院での小児矯正（筋機能療法）の治療の流れは以下のようになります。

• 初回相談・診断：CTスキャンや動画撮影による詳細な診断を行います。
• 院内トレーニング：舌のトレーニングなど、専門スタッフの指導のもとで行います。
• 自宅でのトレーニング：指定のマウスピースやバイオブロックを使用したトレーニングを行います。
• 定期的な通院：トレーニングの成果確認と次のステップへの指導を行います。
• 約2年間のトレーニング継続：お子さまの成長に合わせて治療を進めていきます。
• 定期チェック：治療後も定期的な経過観察を行います。

当院の筋機能療法矯正の費用は400,000円〜（税別）となっています。これには相談料、検査料、診断料が含まれています。また、機能改善を目的とした矯正治療は医療費控除の対象となる可能性があります。

上永谷駅から徒歩2分という好立地で、土日も診療しているため、お忙しい保護者の方でも通いやすい環境を整えています。まずは矯正相談から始めることができますので、お気軽にご予約ください。

まとめ：お子さまに最適な治療時期を見極めることが大切

小児矯正の開始時期については、「永久歯が生える前がベスト」という一概な答えはありません。お子さまの状態や症状によって、最適な治療開始時期は異なります。

受け口（反対咬合）や口腔機能発達不全症などは早期治療が効果的なケースが多い一方、出っ歯や叢生については永久歯列期からの治療でも十分な効果が得られることもあります。

大切なのは、専門医による適切な診断と、お子さま一人ひとりに合わせた治療計画です。当院では、CTスキャンと動画撮影による詳細な診断を行い、お子さまの成長に合わせた最適な治療をご提案しています。

お子さまの歯並びや噛み合わせが気になる場合は、まずは矯正相談にお越しください。早期発見・早期対応が将来的な大きな問題を予防することにつながります。

上永谷デンタルクリニックでは、お子さまの健やかな成長をサポートするため、最適な矯正治療をご提案いたします。詳しい情報や矯正相談のご予約は、上永谷デンタルクリニックのウェブサイトをご覧ください。