歯が白く濁る原因はむし歯だけじゃない?削らずに治せるアイコン治療とは
- 2026年1月15日
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鏡を見たとき、歯の表面に白い斑点や濁りを見つけたことはありませんか?
この白い斑点は「ホワイトスポット」と呼ばれ、笑ったときや話しているときに目立つため、多くの方が気にされています。特に前歯にできると、見た目の印象に大きく影響するため、悩みの種となることも少なくありません。
実は、歯が白く濁る原因はむし歯だけではないのです。エナメル質形成不全という生まれつきの状態や、フッ素の過剰摂取など、複数の原因が考えられます。そして、これらの白濁を削らずに改善できる「アイコン治療」という最新の治療法が注目を集めています。
この記事では、歯科医師の立場から、歯の白濁の原因と最新の治療法について詳しく解説します。見た目の悩みを解消し、自信を持って笑顔になれるよう、適切な治療法を選択するための情報をお届けします。

歯が白く濁る「ホワイトスポット」とは
歯の表面に現れる白い斑点や白く濁った部分を、歯科の専門用語で「ホワイトスポット(White Spot Lesions)」と呼びます。
痛みや違和感はほとんど生じませんが、他の歯の部分よりも明らかに白いため、特に前歯の場合は話しているときや笑ったときに目立ってしまいます。この白濁は歯磨きでは落ちないため、多くの方が悩まれています。
ホワイトスポットの見た目の特徴
ホワイトスポットは、歯の表面に白い斑点模様として現れます。大きさや形は様々で、小さな点状のものから、広範囲に広がるものまであります。
原因によって表面の状態が異なるのが特徴です。初期むし歯が原因の場合は表面がザラザラしていて光沢がなく、エナメル質形成不全が原因の場合は通常の歯のように表面がツルツルしている傾向があります。
ホワイトスポットができやすい場所
ホワイトスポットは、歯の種類によってできやすい場所が異なります。初期むし歯による白濁は、歯と歯ぐきの境目付近によく見られます。これは歯磨きがしにくい場所であるため、汚れが溜まりやすいからです。
一方、エナメル質形成不全による白濁は、小臼歯(前から4番目と5番目の歯)の頬側のとがっている部分や、前歯の唇側で発生しやすいといわれています。特に第一大臼歯(前から6番目の歯)と前歯に限定して起きるエナメル質形成不全は「MIH」と呼ばれ、約5人に1人が該当するため、決して珍しい疾患ではありません。
歯が白く濁る3つの主な原因
歯が白く濁る原因は、大きく分けて3つあります。それぞれの原因によって対処法が異なるため、正確な診断が重要です。
原因1:初期むし歯による白濁
初期むし歯は、歯が白く濁る最も一般的な原因です。
通常、口の中では歯の表面のエナメル質が溶ける「脱灰」と、修復する「再石灰化」と呼ばれる2つの働きが、バランスを保った状態で繰り返されています。しかし、むし歯になるとこのバランスが崩れ、脱灰の方が進んだ状態になります。
歯の表面に汚れが溜まった状態が長く続くと、その下の歯の表面が徐々に溶かされてしまい、白濁が生じます。エナメル質は人体の中で最も硬い組織ですが、酸に弱い性質があるため、むし歯菌が出す酸にさらされることにより、歯の表面からカルシウムやリンなどが溶け出してしまうのです。
この状態を放置すると、さらにエナメル質が溶けて歯に黒い穴が空き、本格的なむし歯になります。しかし、脱灰した状態であれば、再石灰化により失われたカルシウムやリンを取り戻すことで改善することがあります。初期むし歯による白濁は、歯科医院でしっかり対策をすれば進行を止めることができるのです。
原因2:エナメル質形成不全
エナメル質形成不全とは、歯の表面のエナメル質が生まれつきうまく作られなかった状態のことです。
名前の通りエナメル質の形成が不十分なため、その部分の質が弱くなります。これは永久歯にも乳歯にもみられ、小さな頃からずっとある白い斑点模様のものは、エナメル質形成不全の可能性が高くなります。
エナメル質形成不全の原因は、遺伝子に起因するものと遺伝子に起因しないものに分かれます。遺伝性エナメル質形成不全症の場合は、すべての歯に症状が見られます。一方、後天的な原因としては、乳歯を転んでぶつけたり、根っこの先に炎症が起きたことがあると、後から生える永久歯に影響を及ぼすことがあります。
また、妊娠中の栄養不足や病気などが原因で、歯の成長が妨げられることにより起こることもあります。エナメル質形成不全は、歯の白濁以外に、歯が黄色くなる、むし歯になりやすいといった特徴もあります。重度になると、歯の表面がデコボコになったり、エナメル質の下にある象牙質がむき出しになったりする恐れもあるので注意が必要です。

原因3:フッ素の過剰摂取(フッ素症)
歯ができる時期に過剰のフッ素を摂取すると、歯のエナメル質が障害を受けて、斑状歯(歯のフッ素症)になってしまうことがあります。
永久歯は、生まれてから8歳くらいまでにエナメル質の部分が作られます。そのため、小学校3、4年生まではフッ素の摂り過ぎに気を付ける必要があるといえます。しかし、日本は全身にフッ素を応用することがなく、普段から摂っているフッ素の量がとても少ないのが実情です。
そのため、フッ素入りの歯磨き粉を使ったり、フッ素うがいをしたりしても、正しく使ってさえいれば問題はありません。また、口の中に顔を出した歯には斑状歯(フッ素症)は起こりません。国内の水道水はフッ素濃度が適切に管理されているため、通常の生活で歯のフッ素症の心配はないと考えられます。
ただし、井戸水や一部の海外の水道水は、フッ素濃度が高い水準で含まれている可能性があるため、海外生活をしていたという方は稀にフッ素症がみられることがあります。
削らずに治せる「アイコン治療」とは
従来のホワイトスポット治療では、歯を削ってプラスチックを詰めたり、ベニアを貼り付けたりする方法が一般的でした。しかし、健康な歯を削ることには抵抗がある方も多いでしょう。
そこで注目されているのが、歯を削らずにホワイトスポットを改善できる「アイコン(Icon)治療」です。
アイコン治療の仕組み
アイコンは、ドイツDMG社が開発した薬剤で、低粘性の光重合型レジンをエナメル質における初期脱灰部(ホワイトスポット)に浸潤させる治療法です。
酸によってミネラルが溶け出したエナメル質に薬剤をしみこませることによって、歯を削ることなく白濁を改善することができます。また、アイコンはエナメル質を補強して酸性になるのを防ぎ、ホワイトスポットの再発を防止する効果もあります。
この治療法は「低粘性レジン浸潤法」とも呼ばれ、諸外国では商品名である「アイコン治療」と呼ばれるほどメジャーな治療法です。2022年の欧米での比較研究において、ホワイトスポット治療に非常に効果的であると評価され、患者様から高い満足度を得ています。
アイコン治療の流れ
アイコン治療は、以下のような流れで行われます。
- 薬剤が浸透しやすいようにホワイトスポット表面を磨きます
- アイコン専用のジェルで白い部分を除去します
- 歯の表面をエタノールで完全に乾燥させます
- コーティング剤を塗布し、光照射で固定します
治療時間は比較的短く、多くの場合1回の来院で完了します。ただし、効果には個人差があり、1回の治療で完全にホワイトスポットが消えない場合もあります。その場合は、複数回の治療が必要になることもあります。
アイコン治療のメリット
アイコン治療の最大のメリットは、健康な歯を削る必要がないことです。従来の治療法では、白濁部分を削り取る必要がありましたが、アイコン治療では薬剤を浸透させるだけで改善が期待できます。
また、治療時間が短く、痛みもほとんどないため、患者様の負担が少ないのも大きな利点です。さらに、エナメル質を補強する効果があるため、むし歯の予防にもつながります。見た目の改善だけでなく、歯の健康を守るという観点からも優れた治療法といえるでしょう。

アイコン治療以外の治療法と費用
ホワイトスポットの治療法は、アイコン治療だけではありません。症状の程度や原因によって、最適な治療法は異なります。
フッ素塗布とMIペースト
白濁のみの状態であれば、歯を削ったり詰めたりする必要はありません。歯科医院で定期的にフッ素塗布を行い、再石灰化を促し、歯質を強化する方法があります。
また、カルシウムやリンが含まれている「MIペースト」を塗布することで再石灰化が促進され、白濁が目立ちにくくなる可能性もあります。ただし、むし歯になりやすい状態であるため、定期的な管理が必要です。
ダイレクトボンディング
過度に白色が強い場合、もしくは茶褐色が強い場合には、完全に色を改善したいのであれば、最小限の切削を行いコンポジットレジン修復でダイレクトボンディングを行う方法もあります。
この方法では、白濁部分を削り取り、歯の色に合わせたレジンを詰めることで、見た目を改善します。ホワイトニングと併用することで、より自然な仕上がりが期待できます。
治療費用の目安
ホワイトスポットの治療は、基本的に保険適用外の自由診療となります。治療法によって費用は異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- フッ素塗布:数千円程度(定期的な実施が必要)
- MIペースト:数千円程度(継続使用が推奨される)
- アイコン治療:1歯あたり数万円程度
- ダイレクトボンディング:1歯あたり数万円程度
費用は医院によって異なるため、詳しくは各歯科医院にお問い合わせください。治療法の選択にあたっては、費用だけでなく、症状の程度や原因、治療後のメンテナンスなども考慮することが大切です。

ホワイトスポットの予防と日常ケア
ホワイトスポットは、適切な予防とケアによって発生を防いだり、進行を抑えたりすることができます。
食生活の見直し
初期むし歯による白濁を予防するためには、食生活の見直しが重要です。飲み物を含めた食生活を見直し、だらだら食べをしないことが大切です。
特に、糖分を含む飲食物を頻繁に摂取すると、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、脱灰が進みやすくなります。食後は歯磨きをする習慣をつけ、間食の回数を減らすことで、むし歯のリスクを下げることができます。
正しい歯磨き方法
歯磨き方法の改善も、ホワイトスポットの予防に効果的です。特に歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間など、汚れが溜まりやすい場所を丁寧に磨くことが重要です。
フッ素入りの歯磨き粉を使用することで、再石灰化を促進し、エナメル質を強化することができます。また、お子さんの場合は、仕上げ磨きをしっかり行うことで、むし歯の予防につながります。
定期的な歯科検診
ホワイトスポットは、一般の方が自分で見つけることは難しい場合があります。特にエナメル質形成不全は、放置してしまうとむし歯になりやすいため、歯科医院での定期検診を欠かさないようにしましょう。
定期検診では、歯のクリーニングやフッ素塗布を行うことができます。早期発見・早期対応により、大がかりな治療を避けることができるため、3ヶ月から半年に1回程度の定期検診をおすすめします。

まとめ
歯の白濁(ホワイトスポット)の原因は、初期むし歯とエナメル質形成不全、フッ素症の3つが主なものです。それぞれの原因によって対処法が異なるため、まずは歯科医院で正確な診断を受けることが大切です。
従来は歯を削る治療が主流でしたが、現在では削らずに改善できるアイコン治療という選択肢があります。アイコン治療は、低粘性レジンを浸透させることで白濁を改善し、エナメル質を補強する効果も期待できる画期的な治療法です。
ホワイトスポットは見た目の問題だけでなく、むし歯のリスクを高める可能性もあります。適切な治療と予防により、健康で美しい歯を保つことができます。気になる白濁がある方は、ぜひ一度歯科医院でご相談ください。
上永谷デンタルクリニックでは、マイクロスコープや口腔内スキャナーを用いた精密な診断と治療を行っております。患者様一人ひとりに適した治療法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
詳しい診療内容や治療法については、上永谷デンタルクリニックの公式サイトをご覧ください。地下鉄ブルーライン上永谷駅から徒歩2分、土日も診療しておりますので、お忙しい方でも通いやすい環境を整えております。

上永谷デンタルクリニック院長
平野信実
経歴
| 2012年4月 | 神奈川の大手法人の歯科医院で勤務、分院長など歴任 |
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資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会会員
- 京都インプラント研究会会員
- JSOI専修医
