子どもが歯医者を怖がる理由とは?小児歯科専門医が教える不安解消の対処法
- 2026年4月13日
- 小児歯科
「歯医者に行くよ」と伝えた瞬間、お子さんが泣き出してしまう。そんな経験をされた保護者の方は少なくありません。子どもが歯医者を怖がるのは決して珍しいことではなく、歯科に対して強い不安を感じる子どもは一定数いることが知られています。
上永谷デンタルクリニックです。小児歯科では多くのお子さんの不安や緊張と向き合いながら診療を行っています。子どもが歯医者を怖がる背景にはいくつかの理由があり、それを理解することで適切な対処が可能になります。
この記事では、子どもの歯科恐怖の主な原因と、ご家庭でできる具体的な対処法、歯科医院での取り組みについて解説します。

子どもが歯医者を怖がる5つの主な理由
子どもが歯医者を嫌がって暴れることは、実は珍しいことではありません。
特に小さな子どもにとって、歯医者という環境や治療は未知であり、多くの刺激を伴うため、不安や恐怖心を抱きやすいものです。まずは、子どもが歯医者を怖がる具体的な理由を理解していきましょう。
知らない場所と知らない大人への不安
大人でも初対面の人に対しては多少の緊張感を持って接します。
小さなお子さんは、保護者の方以外の「大人」と会う機会も少なく、初めて会う大きな人が目の前にいるだけで抵抗を感じます。それもよく知らない場所で会うのですから、恐怖を感じても仕方ありません。歯科医院という特殊な環境そのものが、子どもにとって未知であることが多く、診療台に寝かされたり、大きなライトを向けられたりする経験は、初めての場合は特に恐怖心を抱きやすいのです。
音やにおいという感覚的な刺激
歯を削る音や薬品のにおいも、お子さんを緊張させます。
歯科治療に使用される音の大きな器具や鋭利に見える道具を目にすることで、さらに怖がることがあります。このような環境が子供の心理に強いストレスを与えることがあり、特に「歯を削ったときにこわい思いをした」「こわい思いをしたときに薬品のにおいがした」といった過去の経験に基づいた連想によって起こる緊張は、その後の通院にも影響を及ぼします。
口という敏感な器官を触られる不快感
お口は、普段人に触られない器官です。
お子さんは、特に最初は不快感を抱くでしょう。歯科治療中の音や振動、口を長時間開けることの不快感から、子供が抵抗することがあります。また、治療中に感じる痛みや違和感も原因となります。一方的に何かをされるのが嫌という感情も強く、成長過程にある子供は、自分の意思を尊重してほしいと感じる時期があります。歯医者での治療は、自分で選択できる自由がほとんどないため、ストレスを感じやすくなります。
過去の不快な経験
過去の歯科受診で嫌な思いをした経験がある場合、その記憶が歯医者への恐怖につながることがあります。
例えば、何度も詰め物が取れて通院を繰り返したことで不快な思いをした経験などが影響することもあります。
特に、小さい子供は過去のネガティブな経験を引きずりやすいため、一度でも嫌な思いをした歯医者には二度と行きたがらないことがあります。初めての歯科医院でこわい思いをした場合、お子さんには「歯科医院=こわい場所」「歯科医師=こわい人」といった強烈なファーストインパクトが植え付けられ、次に他の優しい歯科医院を受診したとしても、その恐怖感を解消するのは簡単ではありません。
保護者からの無意識のマイナスイメージ
歯磨きをさせるときなど、ついつい「痛い痛いしてもらうよ」といったことを言っていませんか?
お気持ちは重々分かりますが、歯科医院へのマイナスイメージが、実はこのように保護者の方から与えられていることがあります。お母さん・お父さんが歯科医院に対して良いイメージを持っている(フリでも結構です)と、お子さんもその考え方にならい、そもそもの恐怖感が生まれにくくなります。歯磨きをサボる子供に「そんなことをしていると虫歯で歯医者さんで削ってもらわないといけないよ」というと、マイナスのイメージが膨らみ歯科医院への恐怖を与えます。
出典日本小児歯科学会「小児の歯科恐怖に関する疫学的研究」(2003年)より作成

年齢別に見る子どもの歯科恐怖の特徴
子どもの歯科への不安は年齢や発達段階によって変化します。
3歳前後の幼児期
3歳前後の子どもが歯科に不安や恐怖を感じる背景には、「これから何をされるのか分からない」という不確実性への不安が関係していると考えられています。
この時期は言葉の理解や状況把握が発達途中であり、見慣れない器具や音、診療室の雰囲気、知らない大人に触れられる体験そのものが緊張や恐怖につながりやすい時期です。
また、過去に歯科で泣いた経験や嫌な思いをした経験がある場合、その印象が記憶に残り、次の受診時の不安を強める要因になることもあります。
そのためこの年齢では、無理に治療を進めるのではなく、診療室の雰囲気に慣れることや安心できる体験を積み重ねることが重要とされています。
6歳〜9歳の学童期
学童期になると理解力が高まり、治療内容をある程度想像できるようになります。
その一方で、過去の経験や友達から聞いた話などをもとに「歯医者は痛いところ」というイメージを持ってしまうことがあります。
この時期の不安の背景には、痛みを予測する不安が関係しているとされています。
そのため治療前に
・何をするのか
・どれくらいで終わるのか
といった内容を分かりやすく説明することで、不安の軽減につながることがあります。
12歳〜15歳の思春期
思春期では幼児期や学童期とは異なる不安が見られることがあります。
この年代では自尊心や自己意識が高まり、口の中を見られること自体に恥ずかしさや抵抗を感じるケースがあります。
また、子供扱いされることへの反発から、不安を言葉にせず態度や行動として示すこともあります。
そのため思春期では、本人にも直接説明を行い、一人の人格として尊重しながら治療を進めることが重要です。

家庭でできる歯科恐怖への対処法
子どもの歯科恐怖を和らげるために、ご家庭でできることがたくさんあります。
日常的な関わり方を少し工夫するだけで、お子さんの歯医者に対するイメージは大きく変わります。ここでは、具体的な対処法をご紹介します。
通院前の準備と声かけ
午前か午後の通院を考える際、機嫌良く起きている午前中に通院するのがおすすめです。
昼寝や食事の時をさけ、眠さや空腹で機嫌が悪くなることを防ぎましょう。通院の朝には「今日は歯医者さんへ行く」と子供に伝えることが大切です。時間で具体的に把握でき、心の準備ができます。ただし、見るだけなどと嘘をつかずにしっかり診察してもらおうと通院してください。歯科治療を行う必要がある場合、騙されたと思ってしまい、次回から子供が行きたがらなくなります。
ポジティブな言葉選び
歯科医院へのマイナスイメージを与える言葉は避けましょう。
「歯みがきできれいな白い歯してばい菌やっつけよう」など、子供にわかりやすい言葉でプラスのイメージを与えるようにしましょう。その状態で歯科で痛みを感じたり怖い思いをすると、歯科恐怖症になってしまう可能性があります。普段の生活で歯磨きを促すときなどの「虫歯になったら歯医者さんで痛い痛いするよ」といったマイナスイメージが生まれる言葉は、できるだけ避けてください。
治療後の適切な褒め方
診療台に座ることができただけでも子どもにとっては大きな一歩です。
「上手にできたね」
「よく頑張ったね」
といった言葉をかけることで、次回の通院への自信につながります。
また、3歳以下では保護者が近くにいることで安心する場合が多く、4歳以上では、親は離れて1人で治療し、自立させた方が嫌がらなくなります。

歯科医院での恐怖を和らげる専門的アプローチ
TSD法などによるコミュニケーションを重視した対応
小児歯科では TSD法(Tell・Show・Do) がよく用いられます。
Tell:これから行うことを説明する
Show:器具を見せて説明する
Do:実際に治療を行う
このようにコミュニケーションを重視した対応で進めることで、子どもが治療内容を理解しやすくなり、不安の軽減につながります。
安全を重視した治療
小児歯科では安全性にも配慮した治療を行います。
ラバーダムの使用や浸潤麻酔の工夫、開口器の使用などにより、安全で安定した治療を行います。
また、必要に応じて抑制器具(レストレーナー)を使用することもありますが、これは安全に治療を進めるための方法の一つです。
治療時間の配慮
一回の治療の時間を短くすることも効果的です。
安静な状態でじっとするというのは動きたい子供にとって難しいことです。お子さんの集中力や忍耐力を考慮し、無理のない治療時間を設定することで、負担を軽減できます。当日の体調が優れなかったり、機嫌が悪かったりすると、それが歯医者での不安や暴れる行動につながることがあるため、十分な睡眠や食事をとっていない場合、子供の忍耐力や適応能力が低下し、些細な刺激にも敏感に反応してしまうことがあります。

上永谷デンタルクリニックの小児歯科への取り組み
当院では、お子さんが安心して通える環境づくりに力を入れています。
地下鉄ブルーライン上永谷駅から徒歩2分という好立地で、土曜・日曜も診療しており、お忙しい保護者の方にも通いやすい体制を整えています。
バリアフリー設計で通いやすい環境
院内はバリアフリー設計になっております。
ベビーカーや車椅子でも不自由なく通院可能で、プライバシーへの配慮として半個室、ベビーカーを置くスペースがあるユニットをご用意しています。お子さん連れの保護者の方にも安心してご来院いただける環境を整えています。
精密な検査と治療
CT、マイクロスコープ、口腔内スキャナーなどを用い精度の高い検査と精密な治療を行います。
むし歯を放ってしまい、抜歯を勧められ決断を悩んでいる方やむし歯の治療を諦めてしまった方など当院にご相談ください。大切な歯です。セカンドオピニオンもご相談いただけます。
オーダーメイドの予防プログラム
お子さんにはむし歯予防プログラムから筋機能療法や矯正治療などによる顎口腔機能発育を提案しております。
一人ひとりに適した健康増進・維持を目指し、定期健診やメインテナンスなどでも関わらせていただき、なるべく健康な状態を維持できるよう努めてまいります。治療が終わった後も大切だと考えておりますので、長期的な視点でお子さんのお口の健康をサポートします。
安心・納得のカウンセリング
治療室とは別途、カウンセリングルームを設けております。
治療計画や治療経過を画像参照しながら、納得いくご説明を実施いたします。「何をされているか分からない」「不安」という印象を持たれないよう、「分かりやすい説明」「一人ひとりの声に耳を傾ける」「なるべく痛みの出ない治療」を心がけております。
徹底した感染対策
治療で使用するミラーやピンセットは患者さま毎に滅菌・パッキングしております。
また、診療中も口腔外バキュームを用いることで感染リスクの減少に努めます。安心して治療を受けていただける環境づくりに取り組んでいます。

定期健診の重要性と通院頻度
小児歯科は「むし歯ができてから行くところ」と思っている方も多いかもしれません。
しかしお子さんの大切な歯を守るためには、歯が生え始めたら小児歯科へ通う習慣を身につけることが大切です。
予防ケアの効果
健康な状態であれば、3-4か月に1回の通院で、1回の診療は45分程度です。
むし歯になってから歯医者さんに通うよりも結果通院回数が少なく済むこともあります。定期健診を軸とした予防的ケアを行い、かかりつけ歯科を持つことは将来的にむし歯の予防や早期発見につながります。お口の健康状態に合わせて、3~4か月に一回の定期健診をおすすめしています。
定期健診の内容
問診・診査(レントゲン診査を含む)を行い、お口の状態を確認します。
その後、お口の中の状態を詳しく説明し、治療方法や通院回数など治療計画をお話します。必要に応じて虫歯の治療やはみがき指導を行い、治療の終了時には、希望される方を対象に予防処置としてフッ素塗布をします。定期健診では治療後の経過のチェックや予防のためのフッ素塗布、PMTC(クリーニング)などを行います。
まとめ:子どもの歯科恐怖は理解と関わり方で和らげることができる
子どもが歯医者を怖がるのには、必ず理由があります。
知らない場所への不安、歯科特有の音やにおい、口の中を触られる違和感、過去の不快な経験、そして周囲からのイメージなど、さまざまな要因が重なって恐怖心が生まれることがあります。
また、子どもの歯科への不安は年齢によって特徴が異なります。
幼児期は「何をされるか分からない不安」、学童期は「痛みを想像する不安」、思春期では「恥ずかしさや自尊心」などが影響することがあります。そのため、子どもの成長段階に合わせた関わり方が大切です。
ご家庭では、
・通院前に落ち着いて説明する
・歯医者に対してポジティブな言葉を使う
・治療後にしっかり褒める
といった関わりを心がけることで、お子さんの歯科への印象は少しずつ変わっていきます。
歯科医院でも、TSD法などによるコミュニケーションを重視した対応や、安全に配慮した治療、治療時間の調整などを通して、子どもの不安を軽減する工夫が行われています。こうした取り組みによって、「歯医者は怖い場所」という印象が「安心して通える場所」に変わることも少なくありません。
また、むし歯ができてから通院するのではなく、定期健診を通じて歯科医院の環境に慣れておくことも、歯科恐怖を防ぐ大切なポイントです。予防を中心とした通院を続けることで、歯科医院を「治療の場所」ではなく「お口の健康を守る場所」として受け入れやすくなります。
お子さんが歯医者を怖がることは決して珍しいことではありません。
大切なのは、焦らずに安心できる体験を積み重ねていくことです。
上永谷デンタルクリニックでは、お子さん一人ひとりの年齢や性格に合わせた対応を心がけ、安心して通える環境づくりに努めています。
詳しくは上永谷デンタルクリニックの公式サイトをご覧いただくか、お電話(045-752-9274)でお気軽にお問い合わせください。WEB予約も承っております。

上永谷デンタルクリニック院長 平野信実
経歴
2012年4月
神奈川の大手法人の歯科医院で勤務、分院長など歴任
資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会会員
- 京都インプラント研究会会員
- JSOI専修医
