0歳から始める口育て|小児歯科医が教える口腔発達サポート」
- 2026年1月15日
- 小児歯科
口育てとは?赤ちゃんの未来を守る新しい予防医療
お子さんの健やかな成長を願うすべての保護者の方へ。
「口育て(こういく)」という言葉をご存知でしょうか?これは、0歳の歯が生える前から口周りの筋肉の発達をサポートし、「口腔機能発達不全症」を防止するための機能予防管理術です。食べる・話す・呼吸するという生涯を通じて必要な機能が正常に発達し、維持できるような発育を目指します。
近年、歯が生える前から保健センターなどで乳児の口腔をチェックする取り組みが見られるようになりました。しかし実際のところ、診るだけで、どのようなお口の状態で支援が必要なのかどうかまでは詳しく伝えられていないケースが多いのが現状です。
お口周りの発達が不十分な場合、歯並びや顎の成長に影響するだけでなく、口呼吸や発音障害、睡眠障害、摂食機能低下のリスクも生じます。老年期では口腔機能がより低下し、早期の摂食・嚥下障害になりやすく、最終的に胃ろうとなるケースもあります。そのため、お口からお子さんの全身の発達を見ていく「口育て」を新生児期から始めることは、正常で健康な心身の発達につながるのです。

口腔機能発達不全症って何?気づきにくい子どもの異変
「口腔機能発達不全症」とは、明らかな原因となる疾患をもたない健常な子どもが、食べる・話す・呼吸するなどの機能が十分に発達していない、もしくは正常な機能を獲得できていないと診断され、専門的な支援が必要な状態にある症状です。
診断の対象になるのは、18歳未満の子どもです。お子さん自身には、口腔機能発達不全症についての自覚はあまりなく、本人は症状を認識していないともいわれています。
こんな症状、ありませんか?チェックリスト
- 歯並びが悪い
- 発音が不明瞭
- 朝に喉が痛い
- 口内炎ができやすい
- 顎の下にしわがよる
- ポカンとお口が開いている
- くちゃくちゃ音をたてて食べる
- 姿勢が悪い
- 左右いずれか片方で噛む
- 早食いをする
チェック項目に3つ以上あてはまる場合は、口腔機能発達不全症の対象となる可能性があります。
加えて、寝相が悪い・いびきをかく・クマがあるなど当てはまることはないですか。睡眠の質が悪くなると成長のホルモンの量が少なくなります。成長ホルモンは全身の成長に影響します。
近年、「子どもの虫歯は減少傾向」とされる統計もありますが、実際には虫歯がなくなったわけではありません。学校健診などの集計でも、未処置の虫歯が一定数みられることが報告されています。
さらに、見た目のチェックだけでは気づきにくい“隠れう蝕(hidden/occult caries)”のように、表面は比較的きれいに見えても内部で進行している虫歯が存在し得ることも知られています。
そのため、「虫歯が減っているから大丈夫」と考えるのではなく、口呼吸・食べ方・飲み込み方などの癖(口腔機能)も含めて早めに整えていくことが大切です。放置しておくと、無呼吸症候群、虫歯、風邪をひきやすい、集中力の低下、姿勢が悪いなど、病気や健康に大きな影響を及ぼすリスクも生じる可能性があるのです。
当院では小児歯科専門医が中心となり、虫歯予防だけでなく“お口の使い方”まで含めたトータル管理を行っています。
口呼吸が子どもの未来を変える?鼻呼吸の重要性
鼻はつまっていないのに口で息をしている「口呼吸」の状態は、呼吸がしにくい可能性があります。
口呼吸は歯並びや虫歯に悪影響を与えますが、以下のような全身の健康にかかわる問題を起こす場合もあります。
口呼吸がもたらす健康リスク
- 風邪などをひきやすい、感染しやすい体質になる
- 口渇(唾液の減少)による免疫能力の低下
- 口腔乾燥による虫歯・歯肉炎の発症
- 扁桃が乾燥して腫れやすくなるため免疫能力の低下
- 脳が冷えない(鼻呼吸による副鼻腔が冷えない)ため集中力が低下する⇒記憶力、学力への悪影響
- 睡眠時の無理な呼吸による睡眠障害、体力の消耗
「口呼吸」を「鼻呼吸」に回復させることにより、健康な生活へつながることが期待できます。
また、成長ホルモンは、特に「深い睡眠(ノンレム睡眠)」のときに多く分泌されることが知られており、睡眠の質はお子さんの身長や顎の成長、全身の発達に深く関係しています。
口呼吸やいびき、無呼吸傾向があると睡眠が浅くなり、十分な休息や成長が妨げられる可能性があります。
当院では、小児歯科専門医が口腔機能・呼吸・舌位・姿勢だけでなく「睡眠状態」まで確認し、必要に応じて生活習慣指導や筋機能療法、医科との連携も行う“睡眠フォロー型の口育て”を実施しています。
単に歯並びを見るのではなく、「眠れているかどうか」までチェックすることが大事です。
舌の位置が歯並びを決める!環境要因が7割の真実
骨格や顔つきのように、歯並びにも遺伝が関係していると思われがちですが、歯並びの原因では、環境による原因が8割で、遺伝による原因は2割程度といわれています。
歯が並ぶ位置は、舌が内側から押す力と頬や唇が外側から押す力のバランスがとれた場所です。
とくに舌の動きに歯並びは大きく左右されます。舌が正常に機能していない要因のひとつに、鼻を使った呼吸が苦しいので、口で呼吸をしていることがあげられます。そのため、呼吸と咀嚼・嚥下を同時に行なおうとすると、飲食のたびに不適切な場所を舌が押してしまいます。舌が正常な位置に動かないので口の内側と外側で押している力のバランスが崩れ、歯並びが悪くなるのです。
上顎の成長は10歳までに80%が完了
上顎の成長は5歳から10歳の期間がとても重要で、10歳までに80%が終わります。歯並びが悪くなる原因や癖を改善していくことが、この時期には特に大切です。正しい時期に悪習癖を取り除くことで、出来る限り歯を抜かない矯正治療が可能となります。まだ成長の余力があるうちから矯正治療を開始することにより、抜歯をする確率がぐんと下がります。
限られた時期にしかできない治療だからこそ、早期からの「口育て」が重要なのです。

0歳から始める口育ての実践方法|専門医が教える具体的ステップ
では、具体的にどのように「口育て」を実践すればよいのでしょうか?
予防歯科先進国であるアメリカやフィンランドでは、下の前歯が生え始めたら、遅くとも1歳のお誕生日までに、はじめての小児歯科を訪れることをおすすめしています。
乳児期からのお口を育てる大切なポイント
乳児期の「泣き」は、赤ちゃんが空腹・不快・苦痛などを伝える大切なサインです。
泣きへの関わりで重要なのは、「たくさん泣かせること」ではなく、赤ちゃんのサインに気づき、適切に応答すること(応答的養育/レスポンシブ・ケア)です。これは、乳幼児期の情緒の安定や安全感を育て、発達を支える基本として国際的にも重視されています。
また、泣き声は健康状態や情緒状態を反映する“指標”になり得るとするレビューもあり、保護者が「いつもと違う泣き」を感じたときに早めに相談するきっかけにもなります。
抱っこやスキンシップ自体が“お口の発達を阻害する”という確立した根拠は乏しく、むしろ安心させる関わりは育児の土台として重要です。
※なお、欧米で語られる「セルフ・スリープトレーニング(寝かしつけ)」は睡眠習慣の議論であり、“口腔機能を育てる目的で泣かせる”という考え方とは別です。
口育てで本当に大切なのは、日々の生活の中で“口を正しく使う経験”を増やすことです。たとえば、授乳・離乳食の姿勢や食形態、口唇の閉じ方、舌の動き、鼻呼吸のしやすさなどを観察し、必要に応じて専門家と一緒に整えていきます。
抱っこの仕方や離乳食のあげ方が歯並びに影響
抱っこの仕方や離乳食のあげ方が、その後の歯並びに大きな影響を与えると考えられています。
「むし歯になったら」「歯並びが悪くなったら」しぶしぶ歯医者さんに行くのではなく、0歳での歯科医院デビューで、むし歯のない、元気なお口育てをしましょう。

筋機能療法による小児矯正|上永谷デンタルクリニックの取り組み
上永谷デンタルクリニックでは、小児を対象とした筋機能療法による矯正治療を提供しています。この治療法は、子どもの限られた成長期(特に5歳から10歳の期間)にのみ可能な矯正治療であり、顔立ちや表情の変化に影響する症状を改善します。
筋機能療法の治療の流れ
治療の流れとしては、まず院内で舌のトレーニングを行い、続いて自宅で指定のマウスピースやバイオブロックを使用したトレーニングを実施します。その後、院内でトレーニングの成果を確認し、これらのステップを繰り返しながら約2年間のトレーニングを継続します。最後に定期チェックを行います。
当院指定のマウスピースの効果
当院指定のマウスピースは、歯並びが悪くなる原因となる悪い癖を改善しながら正しい歯並びを促進する効果があります。また、唇や頬の筋肉を鍛える効果、口呼吸や舌の癖を治して鼻呼吸ができるようになる効果、正しい発音や食べ物の飲み込み方を学べる効果もあります。
小児矯正(筋機能療法)の特徴
単に歯並びの見た目を美しくするだけでなく、全身の健康を改善することを目的としている点が挙げられます。症状の根本原因から改善し、子どもの身体の健全な成長を促進します。また、通常の歯科矯正は後戻りしやすくメンテナンスが必要なことが多いのに対し、筋機能療法は根本から改善するため後戻りしにくい治療法です。
上永谷デンタルクリニックの特徴
- CTスキャンと動画撮影による正確な診断
- 矯正専門医の在籍
- 小児歯科専門医の在籍
- 上顎の骨の成長を促し呼吸・舌位・姿勢・睡眠を改善するバイオブロックの使用
- わかりやすい費用体系(筋機能療法矯正400,000円〜、税別)
機能改善を目的とした矯正治療は医療費控除の対象となる可能性があります。
クリニックは土日も診療しており、上永谷駅から徒歩2分という好立地にあるため、忙しい保護者でも通院しやすい環境を提供しています。まずは矯正相談から始めることができます。
まとめ|今日から始める口育てで、お子さんの未来を守る
「口育て」は、0歳から始めることで、お子さんの生涯にわたる健康を守る重要な取り組みです。
口腔機能の発達は、単に歯並びだけでなく、呼吸・睡眠・姿勢・集中力・免疫力など、全身の健康に深く関わっています。特に5歳から10歳の成長期は、上顎の成長の80%が完了する重要な時期であり、この時期に適切な介入を行うことで、将来的に歯を抜かない矯正治療が可能になります。
口呼吸、歯並びの悪さ、発音の不明瞭さなど、気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。口腔機能発達不全症と診断された場合、保険診療で適切なトレーニングと指導を受けることができます。
上永谷デンタルクリニックでは、筋機能療法による小児矯正治療を提供しており、地域にお住まいの多くのお子さまの治療に携わってきた小児歯科専門の歯科医師も在籍しております。成長期特有の変化を正確に捉え、「なるべく歯を抜かない矯正」や
「口呼吸・舌癖への早期対応」など、将来の健全な歯並びへと導くサポートを行っています。お子さんの口腔機能について気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。今日から始める「口育て」が、お子さんの明るい未来への第一歩となります。
詳しい治療内容や矯正相談のご予約は、こちらからご確認いただけます。
引用元
・応答的養育(レスポンシブ・ケア)の重要性:WHO(ECDガイドQ&A)、Nurturing Care Framework
・泣きが健康・情緒の指標になり得る:乳児の泣きに関するナラティブレビュー(2025)
(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12098436/?utm_source=chatgpt.com)
・日本で子どもの虫歯が依然として課題/未処置う蝕の存在:日本の疫学研究(J Epidemiol 2023)
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/33/6/33_JE20210321/_pdf?utm_source=chatgpt.com)
・視診で見逃され得る“隠れう蝕”:hidden/occult cariesに関する文献
(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0020653920301234?utm_source=chatgpt.com)

上永谷デンタルクリニック院長
平野信実
経歴
| 2012年4月 | 神奈川の大手法人の歯科医院で勤務、分院長など歴任 |
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資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会会員
- 京都インプラント研究会会員
- JSOI専修医
