小児歯科専門医が教える口呼吸といびきの改善法|睡眠の質から始める子どもの健やかな成長
- 2026年4月14日
- 小児歯科
お子さまが寝ている時に口を開けて呼吸していたり、いびきをかいていたりする様子を見て、「これって大丈夫なのかな?」と心配になったことはありませんか。
実は、口呼吸やいびきは単なる「くせ」ではありません。
成長期の子どもにとって、呼吸と睡眠は「顎の発達」「歯並び」「免疫力」「集中力」など、全身の発育に深く関係しています。小児歯科の分野でも、口呼吸や睡眠の質の低下が、不正咬合やむし歯リスクの上昇、さらには日中の学習パフォーマンスに影響する可能性があることが報告されています。
当院では火曜日に小児歯科専門医が在籍し、歯並びだけでなく「呼吸・睡眠・口腔機能」まで含めた総合的な視点でお子さまの成長をサポートしています。
これまで多くのお子さまとご家族に向き合ってきた経験から、口呼吸といびきの改善は「予防歯科」の重要なテーマだと考えています。睡眠の質を高めることは、お子さまの健やかな成長を支える土台となります。この記事では、口呼吸やいびきのサインから予防法、そして改善のための具体的なアプローチまで詳しく解説いたします。

口呼吸といびきが子どもに与える影響
口呼吸は、鼻ではなく口から空気を吸ったり吐いたりする呼吸法です。
鼻には「鼻毛」や「鼻水」といった天然のフィルター機能があり、ウイルスや細菌、アレルゲンの侵入を防いでくれます。しかし口呼吸では、こうした防御機能が働かないため、細菌やウイルスが直接体内に入りやすくなり、口腔乾燥や上気道の防御機能低下が疑われ、感染やアレルギー症状が悪化することがあります。
さらに深刻なのは、口呼吸が歯並びや顎の発達に悪影響を及ぼすことです。口を開けたままでいると、舌の位置が本来あるべき場所(上顎)から下がってしまいます。舌は通常、上顎に軽く触れることで、顎の成長を正しい方向へ導く役割を果たしているのですが、口呼吸によって舌の位置が下がると、上顎の発達が不十分になり、歯並びが乱れる原因となります。「出っ歯」や「乱ぐい歯」、上下の前歯の間にすき間が生じる「開咬」といった不正咬合が起こりやすくなるのです。
また、口の中が常に乾燥することで、だ液の働きが弱まります。だ液には、口の中を清潔に保ち、むし歯や歯肉炎を予防する大切な役割があります。口呼吸によってだ液が減少すると、むし歯や歯周病のリスクが高まり、口臭も強くなりがちです。
いびきと睡眠の質の関係
子どものいびきは決して珍しいものではありませんが、毎晩続く強いいびきや、呼吸が止まるような様子がみられる場合には注意が必要です。
睡眠中に十分な呼吸が確保できないと、深い睡眠が妨げられ、成長ホルモンの分泌低下や日中の眠気、集中力の低下につながる可能性があります。
近年の研究では、睡眠の質が学習効率や情緒の安定にも関係することが示されており、「よく眠れること」は子どもの発育にとって重要な生活習慣のひとつと考えられています。
そのため、小児歯科でも睡眠時の呼吸状態を確認し、必要に応じて耳鼻咽喉科と連携しながら診療を行うことが推奨されています。
口呼吸やいびきのサインを見逃さない
お子さまが口呼吸をしているかどうかは、日常の様子から見分けることができます。
テレビを見ている時や寝ている時に、口をぽかんと開けていることはありませんか。これは「ポカン口」と呼ばれ、口呼吸の代表的なサインです。また、上唇が下唇よりも白く乾燥していたり、唇が厚くなって肌との境目があいまいになっていたりする場合も、口呼吸をしている可能性があります。
睡眠中の症状
睡眠中には、以下のような症状が見られることがあります。
- 毎晩のいびき
- 頻繁な寝返りや異常な寝姿勢(のけぞるような姿勢やうつぶせ寝)
- むせや咳、突然の覚醒
- 寝汗が多い
- 呼吸とともに胸がへこむような動き
- おねしょ
これらの症状は、睡眠の質が低下しているサインです。
日中の症状
日中には、次のような症状が現れることがあります。
- 日中の眠気や疲労感
- 落ち着きのなさや多動
- 情緒不安定(怒りっぽい、すぐにイライラするなど)
- 授業中の居眠りによる学力の低下
- 食事に時間がかかり、食べ物を飲み込めない
これらの症状がある場合、お子さまが十分に睡眠を取れていない可能性があります。早めに専門家に相談することをお勧めします。

口呼吸やいびきの原因とは
口呼吸やいびきの原因は多岐にわたります。
最も多い原因の一つが、「扁桃肥大」や「アデノイド肥大」です。扁桃腺やアデノイド(鼻の奥の咽頭扁桃)が通常よりも大きくなることで、気道が狭くなり、呼吸がしづらくなります。アデノイドは幼児期〜学童期にかけて相対的に大きくなり、思春期に向けて縮小することが多い一方、炎症などで症状が続く場合があります。
鼻づまりとアレルギー性鼻炎
風邪やアレルギー性鼻炎などが原因で鼻がつまり、一時的に口呼吸になることもあります。
特にアレルギー性鼻炎が慢性化すると、口呼吸が習慣になってしまうことがあります。鼻づまりの原因を治療することが、口呼吸改善の第一歩となります。
歯並びや顎の発達の問題
歯並びや顎の発達に問題がある場合も、口呼吸の原因となります。
例えば、「出っ歯」の場合は唇が閉まりにくいため、口呼吸になりやすいです。また、上顎の幅が狭くて舌を上げるスペースがないため、口が自然に開いてしまうケースもあります。このような場合には、小児歯科での診断を受け、必要に応じて矯正治療を検討することが重要です。
生活習慣の変化
近年、食生活の欧米化によって、硬いものを食べる機会が減少しています。
やわらかいものばかり食べていると、口周りの筋肉が十分に発達せず、口呼吸になりやすくなります。また、スマートフォンやゲーム機の操作に集中している時も、無意識に口呼吸になりがちです。会話の機会が減り、口遊び(口笛など)をする機会も少なくなったことも、口周りの筋肉の発達不足につながっていると考えられます。
口呼吸といびきの改善法
口呼吸やいびきを改善するためには、原因に応じた適切なアプローチが必要です。
意識的に鼻呼吸をする
まずは、お子さまに鼻呼吸を意識させることから始めましょう。
「口を閉じて鼻で息をしようね」とときどき声をかけてあげるだけで、改善することがあります。鼻呼吸を意識することで、口が閉じる時間が長くなり、口周りの筋肉を鍛えることができます。
鼻呼吸テープの活用
寝る時に市販の「鼻呼吸テープ」を口に貼ることで、鼻呼吸への移行を促すことができます。
また、「鼻腔拡張テープ」を使うことで、鼻の通りを良くし、鼻呼吸をしやすくする方法もあります。ただし、鼻がひどくつまっている場合は、まず耳鼻咽喉科で鼻づまりの原因を治療することが優先です。
「あいうべ体操」で口周りの筋肉を鍛える
「あいうべ体操」は、口周りの筋肉を鍛える簡単な体操です。
以下の動作を10回1セットとし、1日3セットを目標に続けてみてください。声は出さなくても大丈夫です。
- 「あー」と口を大きく開きます。
- 「いー」と口を横に大きく開きます。
- 「うー」と口をすぼめてできるだけ前に突き出します。
- 「べー」と舌をできるだけ下へ伸ばします。
この体操を続けることで、口周りの筋肉が鍛えられ、自然と口が閉じやすくなります。

食事でしっかり噛む習慣をつける
食事の際にしっかり噛むことは、顎の発達を促し、口周りの筋肉を鍛えるために非常に重要です。
やわらかいものばかりではなく、ときには硬いものも食べさせ、よく噛んでから飲み込む習慣をつけましょう。噛む回数が増えることで、顎が正しく成長し、歯並びの改善にもつながります。
矯正治療による改善
歯並びや顎の発達に問題がある場合は、矯正治療が有効です。
当院では、「マイオブレース」というシリコン製のマウスピースを使った矯正治療を行っています。この治療では、毎日、日中の1時間と就寝中にマウスピースを装着します。学校や外出先に着けていく必要がないため、お子さまの負担も少なく、口周りの筋肉を鍛えながら歯並びを改善することができます。MFT(口腔筋機能療法)というご自宅でできるトレーニングを並行することで、より高い効果が期待できます。
専門医による診断と治療
口呼吸やいびきの症状が重い場合や、ご家庭での対策だけでは改善が見られない場合は、専門医による診断と治療が必要です。
耳鼻咽喉科での治療
扁桃肥大やアデノイド肥大が原因の場合、耳鼻咽喉科での治療が必要になることがあります。
症状が比較的軽症で、鼻づまりが原因の場合は、点鼻薬や抗アレルギー薬といった薬物治療で症状を軽減します。しかし、症状が重症の場合は、アデノイド切除術や口蓋扁桃摘出術を検討することもあります。手術は全身麻酔で行われ、日帰り〜数日の入院となることがありますが、(施設・年齢・合併症リスクによって異なります)術後に症状が大きく改善することが多いです。
小児歯科での診断とサポート
歯並びや顎の発達に問題がある場合は、小児歯科での診断が重要です。
当院では、CT、マイクロスコープ、口腔内スキャナーなどを用いた精度の高い検査と精密な治療を行っています。お子さま一人ひとりに適したオーダーメイドの予防プログラムや矯正治療を提案し、むし歯予防から筋機能療法、顎口腔機能の発育まで総合的にサポートいたします。
睡眠時無呼吸症候群への対応
激しいいびきや睡眠中の無呼吸がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
症状が重症の場合は、CPAP(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)という治療法があります。これは、鼻に装着したマスクから空気を送り込むことで、気道に一定の圧力をかけて呼吸を楽にする方法です。長期間の治療が必要になる場合もあるため、重症度に応じて、耳鼻咽喉科医師と相談の上、手術を含めた外科的治療の選択肢を検討することもあります。
上永谷デンタルクリニックの小児歯科の取り組み
当院では、火曜日に小児歯科専門医が診療を担当し、むし歯治療や歯並びの相談だけでなく、
・口呼吸
・いびき
・お口ぽかん
・舌や口周りの筋機能
・睡眠の質
といった「お口の機能面」まで総合的に評価しています。
必要に応じて、MFT(口腔筋機能療法)や小児矯正、生活習慣のアドバイス、唾液検査によるむし歯リスク評価などを組み合わせ、お子さま一人ひとりに合わせた予防プログラムをご提案しています。
「歯が悪くなってから治す」のではなく、「成長段階から整える」ことが、将来の歯並びや健康を守る近道だと考えています。
親としてできる大切なサポート
小児矯正は「今だからこそ」選べる治療です。将来の負担を減らし、健康な成長をサポートするという意味でも、親御さんが与えられる大きな贈り物のひとつだといえるでしょう。
もちろん、成長の度合いや歯並びの状態によって最適な治療内容は異なりますので、気になる場合は一度歯科医院で相談してみるのがおすすめです。

まとめ|睡眠の質から始める健やかな成長
口呼吸やいびきは、お子さまの睡眠の質を低下させ、成長や歯並び、学習能力にまで影響を及ぼす可能性があります。
しかし、早期に気づき、適切な対策を行うことで、多くの場合は改善が可能です。ご家庭でできる「あいうべ体操」や鼻呼吸の意識づけ、食事でしっかり噛む習慣をつけることから始めてみてください。それでも改善が見られない場合や、症状が重い場合は、専門医による診断と治療を受けることをお勧めします。
当院では、お子さま一人ひとりに適したオーダーメイドの予防プログラムや矯正治療を提供し、健やかな成長をサポートしています。お子さまの口呼吸やいびきが気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
睡眠の質を高めることは、お子さまの未来を守ることにつながります。一緒に、お子さまの健やかな成長を支えていきましょう。
詳しくは、上永谷デンタルクリニックまでお問い合わせください。地下鉄ブルーライン上永谷駅から徒歩2分、土日診療も行っており、WEB予約にも対応しています。お子さまの健康な未来のために、私たちがお手伝いいたします。

上永谷デンタルクリニック院長 平野信実
経歴
2012年4月
神奈川の大手法人の歯科医院で勤務、分院長など歴任
資格・所属学会
- 日本口腔インプラント学会会員
- 京都インプラント研究会会員
- JSOI専修医
